Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
   


    「まるでオーガみたいだな」



 少し笑いを含んだ声でグレイが言い、その明るい声が嬉しくて、
 ミュアもふざけて


    「ミャウ」


 と鳴いてみた。

 すると、グレイの手が、頭から首下にうつり、オーガを撫でる
 手つきになった。


 ミュアもますますオーガになったつもりで、身体をグレイのほうへむけると、
 シルヴィがもっと撫でてくれとねだるときみたいに、首をのばす。

 グレイの手が顎の下から頬へ、頬から首筋へ、首筋をたどり鎖骨へと、
 やさしく動く。

  まるで愛撫するように……。
 
 ミュアは目を閉じたまま、しずかに息を吐いた。


  もっと触れて欲しい……。
  もっとグレイの指先を感じていたい……。


 
 だが、つぎに感じたのは、もっと強い刺激だった。

 ドレスの肩と胸もとをぐっと引きおろされたかと思うと、
 柔らかく熱をもったものが肌におしつけられて、ぴりっとした痛みがはしる。

 びっくりして目をあけると、グレイがミュアの胸もとに顔をふせていた。


   
    「グレイ?」



 呼びかければ、彼は顔をおこしミュアを見て、わずかに微笑んだ。

 気になる胸もとに視線をおろせば、胸の膨らみの上のほうに
 赤いあとができている。

 キスされたのだとわかり、ミュアはいっきに赤くなった。


   
    「グ、グレイ!」
    「俺のものだっていう印をつけた。今は……そうだから」



 そう言いながらグレイは乱れたミュアのドレスをなおし、しずかな声で言った。
   



    「ミュア、城へもどろう」




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