Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜


 さっと壁に目を走らせたグレイが、ミュアを庇ったまま
 すばやく動き、立てかけてあった干し草を積むときに使う
 ピッチ. フォークを手に取る。

 
 とがったフォークの先をむけたとたん、最初の男が踏みこんできた。

 ガチっと剣を受けとめ横にはらえば、男は跳ねとばされて
 藁の山に頭からつっこみ、続けて突進してきた髭づら男が
 振りおろした刃はかわされて、つきだされたピッチ.フォークの
 切っ先が男の胸に穴をあける。


 
 丸腰のけが人だと思っていた相手から思わぬ反撃をうけ、
 男たちが怯んだ。

 それを見てミュアは、床に転がっていた鎌を拾いあげると、
 ぎゅっと握った。
 
   私だって、負けないわよ……!


   
    「なにをやっている、農具片手の相手に怯むな!」


 ジョルジュの声に突き動かされたように、二人の男が同時に
 切りこんでくる。

 だがグレイはその二人も、簡単に退けた。


 しかし、肩の傷口が開いたのか、包帯には赤い染みがひろがり
 はじめ、グレイの動きが鈍ってくる。再び、二人が同時にふみこんできて、
 一人はなんとかかわしたが、もう一人を避けるのが完全におくれた。



    「駄目! やめて!」



 迫る男に叫び、ミュアはグレイの前にでようとした。

 でもグレイの腕がそれをはばみ、振りかぶられた剣がグレイの頭上にせまる。

 
 その時、
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