Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜


  ダン!

 銃声が小屋の中に響いた。

 身体をこわばらせ、剣をおろしかけた姿のままグレイの
 前の男が崩れおち、戸口から走りこんできた国軍の兵士たちが、
 足を竦ませた男たちとジョルジュにむかって銃をかまえる。



   「そこまでだ」



 凛とした声が響き、続いて金モールで飾られた白い軍服をきた
 人物が兵士のうしろからあらわれた。

 皆、唖然とした顔でその人物が小屋の中に入ってくるのを見つめる。


   
    「兄上?」
    「ウォーレス……陛下?」



 ジョルジュとミュアの口から、驚きにみちた呟きがもれたのも
 無理はない、

 なぜなら、あらわれたのは亡くなったはずのウォーレスだったから。



   「ジョルジュ、全ては暴かれた。馬鹿な真似はもうよせ」



 ウォーレスのその言葉でわれにかえったジョルジュは、顔色をなくし
 ぶるぶると拳をふるわせ、しぼりだすような声で呻いた。


   「くっ……謀(はか)られた」



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