Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜
長い、長い告白だった。
彼女は、グレイの母親が唯一、王城で信頼を寄せていた人
であり、本当はグレイの味方だった。
そして、グレイが子供のときから切に望んできたものが何かを、
よく理解していた。
デリアの話しを聞きながら、グレイは、あの無表情な顔の下に、
どれだけの苦しみと悲しみと思いを隠していたのかと、
ミュアは胸がしめつけられるような気持ちになった。
” なぜ、そんなに隠してしまわれるのか、と思ったものです “
グランデール公爵夫人の声がよみがえる。
” その理由とともに、お気持ちをもうけとめられる妃に……”
私は、グレイの気持ちをうけとめれていただろうか……。
「陰謀をあばくため亡くなったふりをし王位をゆずったが、
グレイ国王は、陰謀企むものが放った刺客におそわれ
亡くなったと、ウォーレス様は公(おおやけ)に
発表されました。
ジョルジュ殿下は近日中に処刑され、グレイ様は明日、
密かに国をでられます。
目立つあの容姿ですから、亡くなったことになっては、
もうアルメリオンには簡単には戻れません」
「えっ……」
「最後にと、さきほどまで庭から、グレイ様はミュアリス様を
見ておいででした。
今は、温室にいらっしゃると思います」
そう言って、デリアはとなりの侍女の控えの間から、マントとカンテラを
もってきてミュアに手わたした。
「私はいつも、これを羽織って夜の城内を見回りますから、
フードで顔をかくしていても怪しまれることはないでしょう。
さあ、はやく温室へ」
「ありがとう、デリア、それに……、グレイにかわり、
あなたを赦します」