Lie × Lie 〜 アルメリア城恋物語 〜


 ミュアが微かに笑ったことに気づいたのか、グレイが目をあけ、
 こちらを見た。

   
    「なに?」
    「ううん、なんでもないわ」


 
 つっとグレイの手が伸びてミュアの頬にふれ、そしてそのままつーっと指で、
 ミュアの首を撫でおろす。


 むっくりと起きあがり、垂れているミュアの髪を耳にかけなしながら、
 グレイはすっとミュアの耳うしろに唇をよせた。

   
    「ぐ、グレイ」


 制止の意味をこめて戸惑った声で名をよんだのに、
 グレイはミュアの耳に愛撫するようなキスをくりかえす。


   
    「ここ、外よ」
    「かまわない」
    「駄目よ」




 やれやれというように、グレイは顔をはなすとミュアを見た。


   
    「ミュア、ここはターラントでもアルメリオンでもない。
     裏ではえげつないことをするくせに、マナーだのルールだのに
     煩い(うるさい)王城でもない。
     ここの人たちは、もっとのびのびと大らかに愛し合う。
     外も中も関係ない」



 言いながら、薄い布一枚で覆われたミュアの腿に、彼は指をはしらせる。


 それだけでミュアの身体の奥に、抗いがたい熱がうまれてミュアは
 唇をかんだ。
 
  
   ー ー どうしてこうも、頭と身体がちぐはぐなんだろう


 もう淑女(レディ)でいる必要はないけれど、それでもやっぱり
 恥ずかしい……。


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