大切なものを選ぶこと
「相変わらずだなぁ~高巳さん!」
「葵ちゃん?」
「いつもの事だから気にしないでね美紅さん」
あの態度がいつもなの?
何か少し引っかかる。
「お祭りにも高巳さんは立場上、顔は出すと思うからそこで告白する!」
「ポジティブだね…」
「うん!だって高巳さんのこと大好きだもん!」
あの態度をとられてなんでそこまで言えるんだろう。
高巳と葵ちゃんの間に何があるのかは分からないけど、上手くいくといいな。
「てことで弘兄!夏祭りの日は高巳さんの仕事入れないでね!」
「あー…あぁ」
渋い返事をした弘翔に満足したらしい葵ちゃんも慌ただしく帰って行った。
───「なんか今日は疲れたな…。うちの連中が押しかけて悪かったな美紅」
みんな帰ってご飯を軽くとった後、ソファーでまったりしていると私を優しく抱きしめた弘翔が小さく呟いた。
「蓮さんのこと知れて良かったし、楓さんたちの甘いの見れて楽しかったよ」
「そうか」
私の言葉に安心したらしい弘翔に体を預ける。
髪や頬、首筋など体の至る所にキスを落とされる。
弘翔はかなりスキンシップの多い甘えただ。
普段の人前でしっかりしている姿と家で私に甘えてくる姿のギャップが可愛くてしょうがない。
格好良くて、可愛くて、愛おしい。
いつのならこのまま一緒にお風呂に入る流れになるけど…今日は聞かなきゃいけないことがある。
弘翔も分かっているらしく、言いたくなさそうな顔をするけど、私からキスを落として小さく名前を呼べば、観念したように口を開いた。
「もともと高巳は葵付きの護衛だったんだよ。その時は高巳も葵に対してあんな態度じゃなくてな。あいつは基本的に男女問わずに優しい奴だし、葵に対しても普通に…いや、かなり優しかったんだよ。俺から見ても、葵のこと大事にしてたんだがな…」
そうだったんだ…。でも…なんでだろう。
なんで高巳は葵ちゃんにあんな態度で接するようになったんだろうか。
「高巳の葵に対する態度が変わったのは、初めて葵が高巳に告白した時からだな」
「そっか…」
「あいつも思う事があって葵と距離をとったんだと思うが、男女の機微なんか俺たちが口を出すことじゃないからな」
「そうだよね」
「上手くいってほしいとは俺も思ってるよ。ただ、高巳には何も言わないで今まで通り接してやってくれ」
「うん」
弘翔の言うとおりだ。
私たちには上手くいくように願う事しかできない。