大切なものを選ぶこと
よし!お祭り楽しむぞ~、と意気込みながら人混みに足を踏み入れる。
人混みって好きじゃないんだけどこれも祭りの醍醐味だ。テンション上がる。
出店を伺えば、本家で何度か会ったことのある若い人たち(私と同い年くらい)が的屋を出している。
ほとんどが秋庭の組員さんたちの屋台な気がするような、しないような。知った顔が多すぎる。
「この祭りの運営自体、秋庭が一枚噛んでるからな」
なるほど、そういう事なんだ。
「弘翔ー、私イカ焼き食べたい!」
弘翔の浴衣の袖を引いて言えば『イカ焼きとビールは最高だな』と返された。
そうだけど、そうじゃない…。
──「弘さん!!」
「弘さん、美紅さん、お疲れ様です!」
イカ焼き(とビール)の屋台を探しながら歩いていれば野太い声に呼び止められる。
本家でよく会う人たちだ。みんな私にもフランクに話しかけてくれるノリのいい人たち。
宴会の席なんかではよく笑わせてもらっている。
「おーお疲れ。どうだ売れてるか?」
「ぼちぼちです」
「弘さんコレ持ってってください!」
「弘さんコレも!焼きそば好きっすよね!?」
「俺のお好み焼きもぜひ食ってください!」
「美紅さん美紅さん、りんご飴いりません?!持ってってください!」
「酒系の屋台は本部の近くに出てますよ弘さん」
「あ、美紅さん!焼き鳥とたこ焼きも食べてください!」
弘翔と顔を出した屋台の組員さんたちはやっぱり良い人たちで、みんな色々なものをくれた。
焼きそばにお好み焼き、りんご飴、焼き鳥にたこ焼きetc…大量すぎる。
しかも1パックとかじゃなくて、何人前!?っていうくらいの量。
焼きそばは大盛で5パック、焼き鳥は15本くらい、お好み焼きに至っては8パックもある…。
弘翔を認識するなり組員さんたちが嬉しそうに渡してくるから断れなかった。
隣を見れば、弘翔も大量のビニール袋を掲げて苦笑いを浮かべている。
「あいつら…こんなに食えるわけないだろ…」
「毎年こうなの?」
「いや、美紅と一緒だからだよ。俺に彼女ができたことを何故か自分のことのように喜んでる奴らの集まりだからな」
物凄く擽ったい。
だけど、温かくて嬉しい。
それにしても…この量は弘翔と二人がかりでも絶対に食べきれない。
思わず笑いが零れた。
「境内の本部に机と椅子が出てる。そこで食べるか」
「うん!」