大切なものを選ぶこと
──次の日
「私も今日の合コン行くから!!」
大学に着くなり、開口一番高らかに宣言してやった。
「彼氏さんいいって言ったの!?」
「イケメンスマイルとイケボで行って来ていいって言われた!」
三人の『うわー…』っていう声がハモッたのは聞こえなかったふりをした。
行っていいって言ったのは秋庭さんだし、もういい。
合コンでもなんでも参加して秋庭さんのこと絶対に妬かせてやる…!
「あっ、でも…迎えには来るって言ってた…」
「なんだ…彼氏さんめっちゃ心配してんじゃん!それホントは内心、行って欲しくないって思ってるよー」
「でも秋庭さんがいいって言ったんだもん…!」
「よし!じゃあ、迎えに来た彼氏さんに一言ガツンと言ってあげる!」
秋庭さんは優しいし、誰がどう見ても良い彼氏で、理想の男性だと思う。
だけどちょっとくらい嫉妬してほしい。
そう思って合コンに行くことに決めた。
帰りは秋庭さんが迎えに行くって言って譲らなかったけど…。
「なーんかあたし、W大生よりも美紅の彼氏の方が興味あるわ~」
そう言って笑う由美子だけど…あなた、彼氏いるでしょ…
「由美子は?彼氏さんはいいの?」
「んー?あたしはしっかり合コン楽しんでから事後報告よ!あたしだって彼氏に事後報告されたんだし!やられたらやり返す…!」
「いいよねー彼氏持ちは余裕で~、私たちは本気でW大の彼氏狙うから!!」
合コンに彼氏を作ることを目標で行こうとしている真希と加奈の私服はかなりガチだ。
一方で、私と由美子はそれなりに清楚系の服だけど…。
合コンってご飯食べて軽くお酒飲んで、おしゃべりするだけだよね…
私はそんなにお酒強くないから、あんまり飲まないようにして秋庭さんにも迷惑かけないようにしよう…。
うん、大丈夫。
そんな考えが完全に甘かった…。