料理男子の恋レシピ


明るい日差しで目を覚ます。瞼が重い……

………私、泣きつかれて眠っちゃったんだ。

ひどい顔になっているのは、想像できる。
仕事行きたくないな。
そう思うけど、仕事は待ってくれない。

のそのそと起き上がり、洗面台を覗くと想像以上の酷さだった。急いで瞼を冷やしながら、着替えと朝食の準備(シリアルに牛乳かけるだけ)をする。

開けた窓からいい香りが漂ってきた。
今日はお味噌汁かな?
ここに越してきて以来、ほぼ毎日、朝食のいい香りが漂ってくる。直接会ったことはないけれど、きっと、料理上手な女の人。

私も料理できたら、幸せになれるのかなぁ………
昨日のことを思いだし、落ち込みそうになる。

だめだめ。とりあえず仕事に行かなきゃ!!

なんとかメイクで誤魔化して家を出る。

鍵を閉めていると、隣の部屋から誰かが出てくる。
男の人?
背がすらっと高くて、さらさらの髪に切れ長の目。
かっこいい……
見惚れる私に気づかず、彼はすたすたとエレベーターの方へ歩いていく。

おっと。見惚れてる場合じゃなかった。
お隣の人の彼氏さんかな?
'彼氏'
自分で考えておいてまた胸がずきっとした。

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