料理男子の恋レシピ


仕事が終わると、由香さんと一緒に待ち合わせの居酒屋へ向かう。
相手はうちの営業部の人たちらしい。

私が働いてるのはいわゆる大企業で、本社だけでも1000人以上働いてる。同期は研修などで知ってる人もいるけれど、基本的に部署が違うと顔も名前もわからない。

営業部って、同期に誰かいたかなぁ………

居酒屋に着くと私たち以外は既に揃っていた。

「遅くなってすみませんっ!!」
「いいよ、いいよ。俺らが早かっただけだし。」
「まだ、集合時間来てないし大丈夫。」

あ。けっこう気さくな感じだ。
「省吾さんいる。ラッキー。」
隣で由香さんが呟いてる。
省吾さんが誰かわからないけれど、イケメン揃い。
うちの営業部、顔面偏差値高いって噂があったけれど、うん、納得。目の保養をして帰ろう。

どこに座ろうかと迷っていると幹事に声をかけられる。
「席決めのくじ引いて。」
あー。なるほど。
いきなり?とも思ったけど、今バラバラに座ってる理由に納得する。

席につくと、隣の男の人に話しかけられた。
「西原さんだよね?」
まだ、自己紹介もしてないのに……
「俺、白石 拓海。新人研修のとき、同じグループだったんだけど、覚えてない?」
記憶を辿る………あっ!!
「白石くん?!なんか雰囲気変わったね!!」
新人の頃の彼は、ほわっとした雰囲気だったのに。目の前の彼は洗練された感じがする。
「それは、褒め言葉でいいのかな?」
「もちろん!!」
ほんとは、あの頃、ちょっといいなって思ってたんだよね。

「盛り上がってるところ悪いんだけど。」
反対側の人に声をかけられる。
「飲み物どうする?拓海はビールでいい?」
メニュー表を見せてくれる。
「省吾さん、ありがとうございます。ビールでいいです。」
「えーっと。私はカシスオレンジで、お願いいたします。」
「OK」

この人が省吾さんなんだ。
そう思いながらメニュー表から、顔をあげてチラリと彼を見る。

えっ?!朝の人?!
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