太陽と花


「すみません、花園です。」


「あ、凛梨ちゃん!」



「こんにちは。お願いします。」



そう言って診察券を出した



この人は受付の美月さん



通っているうちに仲良くなって、今ではお姉さんのような存在



そしてここの先生の娘さん



「名前呼ぶからちょっと待っててね。」




「はい。」



待合室にいるといつもじろじろ見られる



そりゃあ高校生が産婦人科に来たら見られるか



だから私はいつも奥の部屋で待たせてもらってる



「凛梨ちゃん、おいで。」



「はい」



私は診察室に行った




「おお、凛梨ちゃん。体調は大丈夫かい?」




「はい。あの、今日は」



「お父さん、帰ってくるのかい?」



「はい。だから薬お願いしたくて。」




「凛梨ちゃん、やっぱり私が言いに行くよ。」




「いや、大丈夫です。」



おじさんの気持ちは嬉しい



でもそんなことしたら



もしあの家庭を壊すようなことしたら



私はいらない子になる



そしたらまた捨てられる



今度こそ行く場所がなくなる



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