王太子の揺るぎなき独占愛
いよいよジュリアの結婚式が近づき、王宮内は慌ただしさを増していた。
大国同士の結婚ということで、近隣諸国から届く祝いの品は数多く、その種類も多岐にわたっていた。
「あ、これキレイ。へえ、アロマオイルなんだ。いい匂いがするけど、ステファノ王子は香水も苦手で、私がつけるといい顔をしないのよね。これもここに置いていくからサヤが使ってね」
「え、でも、とても高価なもののようですよ。せっかくですからラスペードにお持ちになって、あちらの王妃殿下に差し上げてもいいと思いますが」
とんでもないとでもいうように、サヤは慌ててそう言った。
ジュリアがサヤに差し出したオイルはどう見ても高価なもので、とてもではないが自分が使うわけにはいかない。
「そう? この香り、お兄様が気に入りそうなんだけど。それに、高価だといってもこれだけの量が届けられたらどうでもよくなっちゃうわ」
ため息をついて苦笑するジュリアに、サヤも同意する。
広いジュリアの部屋に運び込まれた祝いの品は、部屋中に積まれ足の踏み場にも困るほどだ。
届いたものはすべてジークや使用人たちによって中身が確認され、口に入れるものに関しては、万が一を考え処分している。