王太子の揺るぎなき独占愛


 許されるものではないとわかっているが、冬支度のために森でレオンとともに作業をして以来、サヤは自分の感情に折り合いがつけられず悩み続けている。

 あの日、レオンが森での作業を手伝ってくれたのは、単なる気まぐれだろうか。
 それとも、純粋に森を愛しているがゆえの行動なのだろうか。
 きっと、そのどちらかなのだろうとサヤは思うが、そうだとすればレオンから向けられた甘い視線や指先の優しさ。
 そして、腰に回された腕の力強さはどう受け止めればいいのだろう。

 あの日からひと月が過ぎた今でも、その答えを出せずにいる。
 ふとした時にレオンの吐息を思い出して体が熱くなり、夜も悶々と考えなかなか眠れずにいる。
 森での仕事も、今日のような城下での仕事もきっちりとこなしているが、絶えずレオンの存在を感じている。
 けれど、結婚すれば、無理矢理にでもレオンのことは忘れなければならないのだ。
 決して口に出すことのできない片想い。それも身分をわきまえない身勝手な片想いだ。

 ひっそりと思いを昇華し、忘れなければ……。

「で、でも、私、忘れたくない。このまま、ずっと変わりたくない」

 これまで我慢を重ねてきた反動か、涙が止まらずひくひくと肩を震わせるサヤに、ロザリーは大きな笑顔を見せた。

「なにを言ってるんだい。ずっとこのままでいられるわけがないだろ」
「……え?」
「考えてごらん。マリアなんか、この半年で身長がぐんと伸びたし、先週できなかった縄跳びだって昨日できるようになったんだよ」
 
 ロザリーは腕の中で眠るマリアの栗色の髪を優しく梳くと、愛しげに見つめた。

「マリアだけじゃないさ。他の子どもたちだって毎日変わってる。私よりも重い物が持てるようになったり読める文字が増えたりね。そうだ、私だって変わってるんだよ。去年よりも体重が増えたから、食堂の調理場が狭くなって困ってるんだ」
 
 ロザリーは朗らかな笑い声をあげ、その途端マリアがもぞもぞと体を動かした。慌てて口を閉じたロザリーとサヤは顔を見合わせ、くすりと笑う。


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