王太子の揺るぎなき独占愛


「レオン殿下の傷も、リュンヌのおかげですぐに治ったらしいし。やっぱり万能なのね」

 治療にあたる医師の後ろに控えながら、王太子レオンの鍛えられた腕の筋肉を目にしたときのときめきを思い出し、サヤは頬を赤くした。
 長身でたくましい体と、整った顔。王太子という立場も加わったレオンの人気はかなりのもの。
 国中の女性たちから熱いまなざしを向けられているといってもいいほどだ。

 けれど、いずれ国王となる彼の妻になるのはルブラン家の女性と決められている。
 
たとえレオンが望んだとしても、ルブラン家以外の女性と結婚することは決して許されない。
 どれほど好きでも、そしてどう頑張っても自分のものにはならない遠い存在。
 ルブラン家以外の女性がレオンに恋をしても、その思いが報われることはないのだ。



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