王太子の揺るぎなき独占愛
ラルフとシオンはお気に入りのティーカップを用意させ、穏やかな午後を楽しんでいた。
デレデレとした表情を隠すことなく、おいしそうにクッキーを口に運ぶラルフに、シオンはにこやかに頷いた。
「本当においしいですわね。そのクッキーは、昨日カーラが届けてくれたんですよ。医師のお手伝いをするために城下に行った際に、持ち帰ったそうです。陛下がそのクッキーに目がないと聞いて、ロザリーにたくさん焼いてもらったと聞いています」
「そうか、カーラは相変わらず元気だったか?」
「はい。相変わらずとても元気で……城下で久しぶりにダスティンとお酒を飲んで楽しかったと言っておりました。あ、結婚前に学校で教えていた生徒が、今では教師になっていて驚いたとも。ときがたつのは早いものですね」
シオンもテーブルに置かれていたティーカップを手に取り、紅茶を味わった。
ふたりで王城にいるときにはこうしてお茶を楽しむのだが、ラルフもシオンも、互いから離れがたいのか三人掛けの大きなソファに身を寄せ合い、抱き合うように座っている。
「陛下、落ちましたよ」
ラルフの膝に落ちたクッキーの欠片を、シオンは手に取り、そのまま口にした。
その姿にラルフは目を細め、愛しげにシオンを見つめた。
明るい日差し以上に熱いふたりは、互いしか目に入らないようで、手をつなぎさらに体を寄せ合った。