王太子の揺るぎなき独占愛


「陛下、昨夜の流れ星に何をお願いしましたか?」

 レオンのことなどもういいのか、シオンはラルフとの会話を再開した。

「ん? キレイな流れ星だったが、願い事といえばもちろん」
「もちろん?」 

 ワクワクしながら答えを待つシオンの耳に口を寄せ、ラルフはひそひそとつぶやいた。

「まあっ。私と一緒です。やっぱり私たち、愛し合っているのですね」
「それは疑いようがないだろう。シオンへの愛情で俺の体はできているんだ」

 照れることなく真面目な顔で話すラルフの声に、紅茶を飲んでいたレオンは激しくむせた。
 慣れているとはいえ、人目を気にせず口にする言葉ではないだろう。

「あら、どうしたの? 紅茶が熱かったのかしら?」 

 シオンの声に、レオンはむせながらも「そうじゃないだろう」とどうにか声にした。

「頼むから、いちゃつくのはふたりきりのときにしてくれ。息子の目の前で交わす言葉じゃないだろ」

 レオンが目の前のふたりを軽く睨んでも、ふたりに動じる様子はない。

「だったらレオンが席を外せばいいでしょう? 私たちのお茶の時間にわざわざ来る方がいけないのよ」

 むくれるシオンの言葉に、レオンはさらにがっくりと肩を落とした。
 ラルフとシオンがこういうふたりだと、改めて実感し脱力する。

「で、わざわざ我々の貴重なふたりきりの時間を邪魔してまでやって来たのは……サヤの件か?」

 ラルフはレオンの様子に笑いをこらえる。真面目な息子が困る姿が面白くてたまらないのだ。


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