王太子の揺るぎなき独占愛
 

 ラルフは混乱し、何度も問いかけたが、レオンは平然と頷いていた。
 
 ダスティンはラルフの学友で、病弱だったダスティンを、ラルフはいつも気にかけていた。
 勉強が遅れがちなダスティンのために自分の家庭教師を派遣したり、見舞いだと理由をつけてはこっそりとダスティンの家を訪ねていた。
 王としてふさわしい屈強な体を持つラルフと病弱で体の線が細いダスティン。
 一見ちぐはぐな組み合わせだが、何故か気が合い、今でも強い友情で結ばれている。
 ルブラン家に生まれたダスティンが、病弱ゆえに騎士団に入らず王家の森の管理を任されたのも、ラルフの口添えがあったからだ。
 ダスティンはそのことに感謝し、死ぬまで王家のために森を守ると決めている。

 そして、ダスティンのその思いに応えるべく、ラルフは国のため、そして愛する妻シオンのために国王としての務めを果たしているのだ。

『で、お前は、天使ちゃん……いや、サヤと結婚したいということか?』

 訝し気に問うラルフに、レオンは大きくうなずいた。



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