【完】そして、それが恋だと知った日。
大きな黒い瞳に私が映っていて。
また、胸がぎゅっとなる。


ぱっと視線を逸らして。また下を向いて。
そしてまた、視線を合わせる。


私を、伊澄くんが見ている。
伊澄くんを、私が見ている。


お互いの姿がお互いの瞳に映っている。
私の中に、伊澄くんがいる。


たったそれだけのことに、嬉しくなる自分がいる。


それからはお互い下を向いて。
会話を交わすことなく教室まで向かう。


教室に、つかなければいいのに。
会話をしていなくても心地よいこの状態が。
ずっとずっと終わらなければいいのに。
伊澄くんの隣を歩いていられたらいいのに。


そう思った。




その日の夜、私とすみれと理香子のグループメールに


『無事カレカノになりました!』


とブイサイン付きですみれから送られてきた。


すみれも彼氏持ちかあ。
本当に私だけになっちゃったな。



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