【完】そして、それが恋だと知った日。




待ち合わせ15分前。
今回は焦らず余裕を持って駅まで来れた……。


それでもやっぱり変じゃないかなって確認して。
予定よりは出る時間遅れちゃったけど。
それも楽しくて。
思わず笑みがこぼれた。


前回の塗ってるかどうかわからないリップは封印して。
少し色味が強いピンク色の。
つやつやリップを塗ってきた。


気付いてもらえるか分からないけど。
いや、気合入れてるって思われたくないから。
気付かなくてもいいんだけど!!


ひとりであたふたしていると。
10分前になってこっちに走ってくる伊澄くんの姿が見えた。


あの時も、こんなだったなあ。
私が先に来て。
伊澄くんが走ってくる。
息を切らしながらこっちに走ってくる伊澄くんはキラキラで。
眩しかった。


あのときよりも胸がきゅっとして。
好きだなって、そう思った。


「遅くなってごめん!」


「まだ待ち合わせ前だよ。」


「前も、小笠原さんの方が早かった、よね。」


「そ、そうだね。」


伊澄くんも覚えてたんだ。
おんなじこと考えてた。
シンクロしてた……嬉しいかも。
些細なことで舞い上がってしまう。


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