【完】そして、それが恋だと知った日。

今日は塾の見学に行くんだから。
浮ついた気持ちは心の奥にしまわなきゃ。
舞い上がる心に喝を入れて。
受験生モードに入るように心を引き締めた。


でも、デート……。
気合がふにゃり、力がなくなっていくの分かる。
ちょっとくらい、楽しんでもいいよね……?


「凛久、もう少ししたらくると思うんだけど。」


……ん?
今、凛久って言った?


「えっと、苑田くん?」


「え、うん。
 塾の案内してもらうんだけど。
 あいついつも時間ピッタリに来るから。
 もう少し、待とうか。」


……恥ずかしい。
穴があったら入りたい。
私、何勘違いしてっ!
もう、ふたりきりなわけないじゃんかああ!!


しかも塾、苑田くんの紹介なんだから。
苑田くん来るに決まってるじゃん!
勘違い、恥ずかしいよ~。


勝手にふたりだって決めつけて。
デートだって舞い上がってた数分前の自分が恥ずかしい。
もうばか。
反省しよう……、浮ついてるからだ。


変なこと口走る前でよかった……。
恥ずかしい……。


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