【完】そして、それが恋だと知った日。

ほどなくして、時間ぴったりに。
苑田くんはやってきた。


もう、私のあほ。


苑田くんと伊澄くんが並んで歩くその少し後ろに。
ついていくようにして歩いた。
流石に隣は恥ずかしいし。
知り合い、いないといいんだけど。
少しびくびくしながら、塾へと足を進めた。


「じゃあ、俺数学コース見てくるね。」


塾について伊澄くんが数学コース。
私と苑田くんは英語のコースに分かれた。


コースも違うんだった……。
全然一緒にいられないんだ……。
下心満載な自分が恥ずかしい。
顔が赤くなるのを感じつつ、苑田くんに見られないように下を向いた。


「俺、英語のコース取ってるけど結構分かりやすいよ」


「そうなんだ。
 苑田くんは、どこ校志望なの?」


「東校。」


「そうなんだ。」


苑田くん、頭良いんだ。
この辺りで一番頭のいい東校。
確か、理香子も東校だったはず。
彼氏と一緒な所行くって言ってたし。


かっこいいだけでなく、頭もいいなんて。
モテるのは外見だけじゃないんだなあ。



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