君のことは一ミリたりとも【完】




そして俺は改めて彼女に気持ちを伝え、無事に河田さんと付き合えることになった。


「(それにしても、河田さんと付き合う日がやってくるとは……)」


高校の時は考えたこともなかった。


「よかった! 付き合えたんですね! おめでとうございます!」

「本当に加奈ちゃんのお陰。今度何か奢るよ」

「別にいいですよぉ。お肉のお寿司で我慢してあげますから」

「やっぱり奢らせるんだ?」


というか、俺は彼女を振ってしまったのに加奈ちゃんはそれでも俺の恋愛を応援してくれたんだな。今思えば俺なんかよりも全然強い人のように思えてきた。

昨日の晩、別れる際に再び加奈ちゃんの話題を出した河田さんは酷く呆れた様子であった。


『あの子のこと振ったんだってね。なんであんなにいい子振っちゃったの? もったいない』


一応俺の彼女ではずの河田さんの口からそんな言葉が出てきたのは可笑しい話だった。
だって河田さんのことが好きで彼女のことを振ってしまったのに、そんな気持ちですら届いていなかった。

河田さんって思ったより鈍感で、面倒くさい人なんだなぁ。
そういうところも好きな気がするけれど。


「はぁー、なんか本当に吹っ切れちゃいました。言っときますけど惚気はいりませんからね」

「あ、はい」

「私なんか今日定時で上がって合コンに行っちゃうんですから。先輩より全然格好いい男の人捕まえちゃうんですから」

「ふふ、はいはい」




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