君のことは一ミリたりとも【完】
ぐすんぐすんとあからさまな嘘泣きをされて、「あーもう」と頭を掻き毟りたい衝動に駆られる。あっちもこっちも鬱陶しい。
出来ればもう少し後にずらしたかったのだが、私の仕事の都合もあり、予定通りの土曜日に実家に帰ることになってしまった。
「亜紀さんのご両親ってどんな人?」
「お母さんは固定概念が凄くて、お父さんは結構マイペース」
「あぁ、じゃあ亜紀さんはお母さん似だ」
「固定概念が強くて悪かったわね」
誰のせいで今こうなってるか分かっているのか。運転席から聞こえる笑い声に溜息を吐きながら車から見える景色を眺めていた。
車を走らせること1時間、そうこうしているうちに私の実家周辺まで近づいてきていた。
赤信号で止まった唐沢が外の景色を見て感慨深そうに言葉を漏らす。
「なんかこの辺懐かしいね」
「え?」
「ここ、高校の近くじゃん」
高校の頃、私は徒歩通学だったから居間車を走らせている辺りはよく通学に使っていた道だった。
そういえば唐沢も高校は徒歩通学だったような気がする。
「俺たち意外と家近かったんだね。なんか嬉しいなー」
「私は嬉しくない」
「辛辣だなー。あ、亜紀さんよくここのコンビニ通ってたよね」
「なんでそんなことまで知ってんの」