君のことは一ミリたりとも【完】
伝えないと、て……
「……どうしたの?」
「えっと……」
思ったのに、やっぱり私は意地っ張りで言いたいことも言えなくて。
そんな自分が心底嫌になった。
「えー、なに? 気になるじゃん」
「煩い、ちょっと待って」
「なになに、早く教えて」
「……だからっ」
勢い余って運転席に目を向けるとハンドルを握りながら口元をニヤつかせているのを見つけて怒りが沸騰した。
どうやら私がなにを伝えたいのか、彼には見当が付いているらしい。
「最低」
「はは、ごめんて。でも無理して言わなくていいから、今は。というか返事に期待して言ったわけじゃないから」
気にしないで、と無理に私に言わせようとしないその姿勢がまた勘に触る。
二人が言っていたのはきっとこのことだ。人の顔色を伺って、心理まで先回りをして、自分といて嫌な気持ちにならないようにって徹底している。
そんな飄々とした態度の唐沢を少し困らせてみたくなった。
「ずっと一緒にいてあげる」
「……え?」