君のことは一ミリたりとも【完】
やっと今まで言われっぱなしだったのをやり返したぞと言わんばかりに助手席で踏ん反り返っていると、唐沢は思い出したような口調「そうだ」と、
「じゃあ俺も言いたいこと、っていうかずっと聞きたかったことがあるんだけどいい?」
「駄目?」
「高校の頃さー」
「駄目って言ったでしょ」
そんな私の言葉にくくくと喉を鳴らした彼はそれを遮るようにして話を続ける。
「卒業式、亜紀さんなんで泣いてたの?」
「え」
「泣いてたでしょ、一人で」
一瞬、なんのことを話されているのか全く分からなかった。
「は? いやいや、別に泣いてないわよ」
「嘘だ、俺見たもん。卒業式終わったあと、校庭のところで泣いてたの」
「泣いてないってば」
内心は焦っていた。確かに私は高校の卒業式、一緒にいた優麻が神崎に呼ばれて離れて行ったあと、一人になってこっそりと泣いていた。
誰にも見られていないつもりだったのに、一番見られたくない相手に見つかっていたなんて……一生の不覚すぎる。
「ていうかなんでそんなの覚えてるの?」
「俺、亜紀さんが泣いてるのずっと頭に残ってて、たまに夢見るくらい頭から離れなかったんだよね」