君のことは一ミリたりとも【完】
みんな、私にはないものを持っている。この高校に思い入れがある。
でも私には、何もない。ただ平凡と3年間を過ごしただけだった。
「こんな気持ちになるなら、もっと好きな人を作ったり楽しめば良かったって。凄い今更思って、そんな自分が馬鹿みたいで泣けたの。それだけ」
「本当にそれだけ?」
「本当にそれだけ」
事実、それ以外の感情はない。込み上げてくる虚しさだけで泣けるだなんて私も吃驚で、顔に触るまで泣いていることにすら気が付けなかった。
きっと沢山の友達に囲まれて高校を過ごした唐沢には分からない感情だろう。理解してもらおうだなんて最初から思ってもいないけど。
「そっか。ありがとう、話してくれて」
「別に……」
「俺、絶対亜紀さんのこと幸せにするね」
「っ、は? 急に何?」
どういう脈絡からその結論に至ったのか、訳が分からないというか顔で唐沢を見ていると彼は吹き出すように笑い始めた。
「もう後悔して泣かせたりなんかさせないから」
「っ……」
「お、やり返し成功?」
「赤くなってない」
「ねぇ、あとでキスしてもいい?」
「駄目」