クールな社長の溺甘プロポーズ
「そういう相手とああしてふたりきりになるなんて、隙があるんじゃないか?」
「け、けどきちんと断ったし……」
「すぐには諦めきれない、と聞こえたが」
そこもしっかり聞かれていた。
元々愛想はないけれど、いつも以上に刺々しい言い方から、彼が怒っているのは明らかだ。
あぁ、怒ってる……。
どうしよう、謝るべき?けど謝ったら余計やましいことがあるかのようだ。
悩んでいるうちに車はマンションに着く。
そしてひと言の会話もないまま、私たちは自宅へと戻った。
気まずい。
大倉さんが怒ることなど初めてだから、どんなフォローをするべきなのかがわからない。
けど、そうだよね。
自分の恋人が、過去に告白された相手と夜道でふたり。しかもそれっぽく聞こえてしまう言葉を交わしていたら……逆の立場なら、私も怒る。
だけど、米田さんはそういうのじゃなくて……。
私が頭をぐるぐるとめぐらせる一方で、大倉さんさんは鞄とスーツのジャケットを雑にダイニングの椅子に置くと、そのままキッチンへと向かった。
ガチャ、とグラスを手に取る音から、彼が水でも飲もうとしていることを察しながら、私は部屋着に着替えるべくクローゼットの方へ向かう。
あれ、確か今ミネラルウォーターは切れていたはず。
代わりに頭に浮かんだのは、先日冷蔵庫に入れておいたお酒の瓶。
「はっ!大倉さん待って!」
慌ててキッチンに駆けつけ、大倉さんの手元のグラスを奪う。
けれど既にグラスは空っぽで、カウンターの上には案の定、口の開いたお酒の瓶が置かれていた。
遅かった……!