クールな社長の溺甘プロポーズ



半年前まで付き合っていた彼氏はそんな私を受け入れてくれていた。かと思いきや、他に女を作っていた。



『星乃は仕事だけあればいいんだろ』



これまでも、社会人になってから付き合った相手皆に言われた言葉。

けれど、彼に言われたその言葉が一番深く胸に突き刺さった。



結果、私はもう恋愛も結婚も諦めた。

どうせ続かない。

どうせ終わる。

どうせ、傷つく。



これ以上、苦しい思いはしたくないから。





「……はぁ」



オフィスを出てやってきたトイレで、私はひとり深いため息をこぼす。

先ほどの柳原チーフとの会話のせいで、いやな思い出がどんどんよみがえってくる……。



目の前の鏡に映るのは、春物のライトピンクのロングカーディガンにグレーの丸首ブラウス、白いワイドパンツ、と自社ブランドの服で固めた自分。



背伸びをするようなヒールと、奮発して買ったダイヤのついたネックレスで精いっぱい自身を飾る。

けれど、それも幸せそうに家族や恋人のことを語る友人たちの前では霞んでしまう気がした。



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