クールな社長の溺甘プロポーズ
半年前の彼との別れをきっかけに、私は自分には結婚など縁がないのだと諦めた。
恋人か仕事か、どちらが大切かと迫られ、時折大切な仕事も嫌いになってしまいそうになる。
そんな気持ちを繰り返すなら、ひとりのほうがいい。
いざという時のために保険は入ってるし、ある程度お金が貯まったらマンションも買ってしまおうかとも思っている。
あとは老後のために貯金をしておいて……。
そんなことを考えながら、トイレを出ようとしたところ、ポケットに入れておいたスマートフォンがヴー、と震えた。
取り出して見れば画面には【着信 お父さん】の文字が表示されていた。
お父さんから電話……?なんだろう、わからないけど嫌な予感がする。
けど無視をするのもどうかと思い、私は通話ボタンをタップして電話に出た。
「もしもし?」
『おぉ、星乃!今大丈夫か?』
「うん、少しならいいけど」
電話越しに聞こえる父の大きな声に、思わずスマートフォンを少し耳から離しながら答える。