私の彼氏は小さい先輩
目の前に立っていたのは、香の学校の制服を着た男子だった。

茶色でさらさらな、男子にしては長い髪。

透き通った黒い瞳。ずっと見ていると吸い込まれそうだ。

「あ…あの…何年生ですか?」

「俺か?三年だけど…」

香は震える手を抑え、必死に言葉を探す。

しかし、久々に男子と話したせいか、頭が真っ白になり何も出てこない。

そんな香を見て、三年生だという男の子はかがんで香と目線の高さを合わせる。

「まぁ怪我なくてよかった。気をつけろよ」

「は、い」

ちょうど電車が来たので慌てて立ち上がり、電車に乗る。

ふと、右を見れば、少し離れたところで男の子がスマホをいじっている所が見えた。

「(朝からこんなんじゃこの先心配だなぁ…)」

視線を戻し、下を向いた香は小さくため息をついた。
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