【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
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持っていくのは身の回りの物だけでだけでいいと言われたけど、しばらく家を空けるのなら、片付けたり戸締まりだったり色々やらなきゃいけないことがあるわけで。

待ってるからゆっくりやりなよ、と言われてもゆっくりなんてとてもできないので居間のソファでゆったりくつろぐ社長を尻目に、私はバタバタと慌ただしくやるべきことを片していった。


「……ねえ美緒、おばあさまが亡くなってから君は一人で住んでいるの?」

私が慌ただしく走り回っている間、社長はこうしていろんな質問を投げかけてきて、私はそれに素直に答えていた。

社長はどうやら祖母と住んでいたこの古風な日本家屋が気に入ったらしく、家のことや庭のことなどをとりとめもなく聞いては感心したように部屋を見回したりしている。


「はい。一人で住むには広すぎますけど、祖母が大切にしてきた家ですし。家って誰も住まなくなると傷むのが早いと聞いたので」




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