【加筆・修正中】恋した君に愛を乞う
***


訳もわからず歓迎会という名の合コンに参加することになり、今に至る訳だけど。


「ごめんね佐伯さん。少し飲ませ過ぎちゃったかな」

「いえ……、私、もともとお酒ってあまり飲んだことがなくて……」


顔が熱い。
それにまぶたも重くなってる。

席替えは何度か行われているけれど、私の隣の席は剣崎さんで固定されている。
彼が言っていた控え目な子というのはどうやら私のことらしい。

鈍い私は全然気付いてなかったけれど、さっき阿川さんに化粧室へ連れていかれた時に説明され、彼氏いないならちょうどいいじゃなーい、と言われたけど。
彼氏はいないけど婚約者はいますとかどうやって説明したらいいんだろう。


「少し出ようか?外の空気吸っとく?」

「……はい。そうします……」


頭の中がぼーっとしている。

私の様子を気遣って一緒に外へ来てくれるという剣崎さんがいろいろ話し掛けてくださってるのに、私はきちんと答えられてるのかも怪しい。

ワインをグラスで2杯飲んでこの状態なら、私はたぶんアルコールには強くないんだろうな。
初めて知った。

というより異動になってから初めてづくしで私の人生がこれまでにないぐらいの転換期を迎えているのは間違いない。

そしてその発端は社長なんだけど。

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