ぎゅっと、隣で…… 
『ズボッ』


鈍い音に優一が振り向くと、草で隠れていた溝に南朋が落ちていた。



「大丈夫か?」

 優一は慌てて、南朋の腕を掴み引上げた。


「落ちた……」


 南朋の困ったような顔を見て優一は笑い出した。笑いながら、南朋の足の周りの草を払った。

「普通、落ちないだろ?」

優一は笑いを堪えて言った。

「だって、見えなかったんだもん……」

 優一がしゃがんで草を払っている姿を、南朋が泣きそうな顔で見ていた。


「ねえ、覚えている?」

 南朋が、少し不安そうに小さな声で言った。

「何を?」


「昔、皆で作った落とし穴に翔が落ちた事があったよね…… 楽しかったね……」


「ああ、楽しかったなぁ」


 優一はそう言って、懐かしそうに南朋を見た。 


「でも、今、落ちたのは、南朋ちゃんだけどね……」


「もう!」

 剥れた南朋が可愛くて、優一は南朋の頬に触れようとしたが、その手を軽く南朋の頭を撫で自分にブレーキを掛けた。
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