ぎゅっと、隣で…… 
「ラーメン食べてく?」

 優一は道路の反対側に光るラーメンの看板を見て言った。


 南朋が、まだ早い時間に家に帰りにくいだろうと思ったのと、さすがに腹も減っいた。

 まあ、優一だって、早く帰れば婆ちゃん達に訳を聞かれるのだから……


「うん」

 南朋は素直に肯いた。



 店の中で向き合って座った南朋は綺麗だった。

 髪と重なるように見えるピアスも、胸元で光るネックレスも、南朋を色っぽく見せていた。

 優一は、幼い頃初めて南朋を見た時のように、胸の奥がドキッと音をたてた。

 でも、あの頃より、もっと熱く高まる感情をグッとこらえ、ラーメンをすすった。



「お祭り終わっちゃったね……」

 南朋がポツリと少し残念そうに言った。


「また、三年後だな……」


「三年後か……」


 南朋の言葉に、お祭りが終わったら、南朋と会う機会も無くなる…… 

 隣に住んでいるとはいえ、顔を合わす事は殆ど無い……

 
 なんとなく寂しそうな南朋の表情に、


「祭りの慰労会やり直そうか?」

 思わず優一は口から出てしまった。



「うん。やる! いつ?」

 南朋は目を輝かせて優一を見た。


「じゃあ、来週の金曜でどう?」


「うん。大丈夫! でも、お婆ちゃん達見てるからな……」

 全てを観察している婆ちゃん達に見つかると、また、話がややこしくなると優一も思った。



「そうだな…… じゃあ、駅前の本屋に六時半でどう?」


「うん。楽しみ!」

 南朋の明るく張り上げる声に……


「そうだな……」優一も笑んだ。



 今度は南朋が落ちないよう、優一は南朋と並んで歩いた。


 優一は南朋を誘ってしまった事が本当に良かったのだろうか? 

 秀二に言われた事が頭から離れない。



 自分は南朋を守ってやれなかった。

 南朋を守らず、他の女に逃げた最低な男だ…… 

 今だけじゃない、子供の頃から守ってやれなかったのに、横に並ぶ南朋の手を握る資格も無い……


 優一は、ぎゅと拳を握った。

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