ぎゅっと、隣で…… 
 優一は下を向いて歩く南朋に、秀二の事で心を痛めているのだと思った。

 下を向く南朋の姿に幼い頃の南朋が重なり、優一は覚悟を決めて口を開いた。


「南朋ちゃん…… 秀二は確かに悪い奴だ! だけどね…… 南朋ちゃんの事好きだったと想うよ…… 南朋ちゃんが素敵な子だって解っていたから…… だから、自分に自信持ちな…… この祭りで南朋ちゃんの評判、凄く高かったんだよ。俺なんて南朋ちゃんに近づけなかったんだから……」


 もしかしたら、もっと南朋を傷つけてしまうのかもしれない。

 でも、このままじゃ、南朋はずっと傷ついたまま、自分がダメだと思ってしまう気がした。



「優一兄ちゃん……」


「でも、もう秀二には会っちゃダメだ…… 南朋ちゃん傷つくだけだ……」

 秀二は、切なくも優しい目で南朋を見た。


 今の優一には、それが精一杯だった。

 もう、これ以上南朋に傷ついて欲しくない……

 今は、ただ、それだけを願った。
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