ぎゅっと、隣で…… 
「……」

 南朋は何んて言葉を返したらいいのか分からなかった。


 悪い事をした覚えは無いのに、南朋は怯えて体を小さくさせてしまった。



「私の言っている意味わかるかしら? あの、家から出て行ってくれない。優一の近くに住んでいるだけで嫌なのよ。あなたが、居ても優一の役にはたたないのよ。分かるでしょ? 優一にとって迷惑なのよ。お願いね」


 私は何も言い返せない……

 優一にとって迷惑な存在なのだ……


 もっと、自分に自信が持てたら、こんな思いはしなくて済んだのに……




 小百合は、南朋が何も言えないよう、鋭い視線を向けると、テーブルの上の伝票を手に立ち上がった。



「あっ」


 南朋が小さく声を上げる……


「結構よ」


 小百合は、振り向く事なく会計を済ませ店を出て行った。






 優一に迷惑をかけてしまった…… 


 南朋は昔、田川先生にも言われた事を思い出した。


 やっぱり、私はダメな子なんだね…… 


 ごめんね、優一兄ちゃん迷惑かけて……


 南朋はグッと唇をかみしめた。
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