星夜光、きみのメランコリー
「…き、昨日の………、絵菜ちゃんの、こと……」
「あー、目の前でいきなりキスしたこと?」
「…ッ」
容赦ない質問。ズキンと、胸が痛んだ。そんななサラリと言わないで。泣きそうになる。
「つ、付き合ってるの…?」
「付き合ってないよ。フランスに住んでた頃の友達っつーか、知り合い。って、言わなかったっけ?」
「じゃ、じゃあなんでキスするの…?」
「…知らないけど、向こうじゃそういう表現は日常的だったりするし…。でもまぁ、昔から絵菜は俺が好きだと言っては昨日みたいに突然してきたりとかは、あったな」
「…っ」
「でも、いつもしてるわけじゃないし、俺もそういうのが特別なことなんだって分かってからは、拒否してきたよ。ただ昨日のはなんていうか…久しぶりかつ突然だったから、正直言うと、避けられなかった」
ごめん、と、千歳くんは呟いた。
避けられなかった…。突然抱きつかれてキスされるってのは、そういうものなのだろうか。あたしには昨日みたいな経験がないから分からないよ。
「…じゃあ、もうひとつ。今日の朝はどうして無視したの?」
キスのことも納得していないけど、あたしがどうこう言えることじゃないから。でも挨拶だけは、友達でも聞けると思う。嫌だったって、言えると思う。
「…俺、無視したっけ?」
「したよ!右京くんには言ってたのに…あたしには言わなかった。友達なのに」
「んー…」
頭の後ろをかきながら、困った顔をしていた。身に覚えがないんだと思う。
でも、あたしはしっかりと覚えている。