星夜光、きみのメランコリー
「天香、大丈夫?てか、なんでここにいんの。もう帰ったのかと思ったんだけど」
教室にいなかったよね?と、千歳くんは少しため息混じりに聞いた。
「…進路指導室にいたの。朝、川端先生に呼ばれて…」
「あー、面談か。だからいなかったのね」
そう言うってことは、もしかして教室に寄ってくれたの?あたしに会いに?どうして?
「今日日直で、職員室に日誌出しに行ったついでに授業で分かんなかったところ聞いてたら遅くなった。ごめんね」
「…お、長田先生は…?」
「あんなん嘘に決まってんじゃん。長田の名前出せば大抵のやつが行きたくないって逃げるからね」
教室のカーテンを閉めながら、千歳くんは笑った。
じゃあ、さっきのは、あの子達からあたしを守るために言ってくれたことだったんだ。
やさしいなあ。
「そんで?なんで天香はこんなとこにいんの?お前から来るなんて珍しいじゃん」
鞄を持って、あたしが立っているそばの机に腰を下ろした千歳くん。
カーテンを閉めて、少し薄暗くなった場所にその低い声が響くものだから、緊張した。
そして、同時に思う。
あたしはやっぱり、千歳くんのことが好きになってしまったんだって。
だとしたら、やっぱり気になっちゃう。
モヤモヤすることが、いっぱいだ。
「…千歳くんに、聞きたいことがたくさんあるの」
「うん、なに?」
千歳くんの、今の気持ちが知りたい。
千歳くんの、その口から聞きたい。