星夜光、きみのメランコリー
「彩田 天香」
低い声が、頭の上に落ちてきた。すっと閉じていた目をおそるおそる開けると、視界一面に、星色が広がる。
キラキラと光る色たちは、まるで宝石のよう。
「…あ!! 一色くん!!」
目を見開いたのが自分でも分かった。空と雲を背景に、きれいに整い過ぎた顔が、じっとわたしの方を見ている。
「…なに寝てんの?」
「寝てないよう。ちょっとお昼寝しようかなって思ってたとこさ」
「寝ようとしてたんじゃねーか」
呆れたような目を向けられた。こんな真昼間から、彼があたしの目の前に現れたことが夢のようで仕方なかった。
だって、彼にはあまりにも昼は似合わない。
「一色くんはサボりですか!?」
「ちげーよ。授業に飽きただけ」
「そーいうのをサボりというのでは!?」
「知らねぇ」
嘘みたい。嘘みたいだ。一色くんが、またあたしの目の前に現れてくれた。さっきまでは、あんなにつまらなさそうに、「こころ」の勉強をしていたのに。
一色くんは、何も言わないであたしのとなりに座った。手には1冊のスケッチブック。あたしと同じだ。あたしもノートを持ってきてしまった。
「一色くん、絵を描くの?」
足を三角に曲げた状態で、白い紙を広げる一色くんに、ごろごろと寝転んだ状態で近づいた。
「…ちょっと。仮にも女の子がそんな格好なのどうかと思いますけど」
「おっと、ちょっとオヤジっぽい!?もっとおしとやかな方が好みかな、一色くんは」
「そーいうこと言ってんじゃねぇの」
ぶすぶすと呟きながら、一色くんはポケットに手を突っ込んだ。
一瞬隠れた右手と一緒に出てきたのは、1本の黒い鉛筆。