星夜光、きみのメランコリー


千種にバレてしまったのは本当だ。でも、あたしからバラしたわけでもないし、千種も広める気はさらさらなさそうだ。


床に置いていた鞄から、絵が挟まっているファイルを取り出して、それを一色くんの目の前に出してやった。


透けている黄色のファイルだから、近くで見るとすぐに分かる。あの時に描いてもらったものだって。



「…ウワ、まさかいつも持ち歩いてんの?」


一色くんは、それを見るなり顔をしかめた。あたしの方を見たヘーゼル色の目は、少し軽蔑したような色に変わっている。

…流石に、引かれてしまった。


「だって、描いてもらったのがうれしすぎて」

「だからって挟んで持ち歩く必要はないんじゃない? こんな短時間でサラッと描いた絵」

「サラッとじゃないもん!ちゃんとした絵だもん!」

「サラッとだよ。線とか粗すぎ。色も全然出てないし艶もない。俺にとっては落書きの一部だよ」



太陽の光に透けさせて、その中にいるあたしに向かって息を吐く。どうやら、本当に引かれてしまったらしい。


でも、あたしにとっては王子に描いてもらった宝物なのだから、どんな文句を言われたって構わないと思ってる。


「ら、落書きじゃないもん。あたしは落書きでこんな絵は描けない」


手を伸ばして、彼の腕から奪い去った。これ以上持たせていたら、そのままゴミ箱へ持っていかれてしまうんじゃないかと思ったから。


一色くんは、その様子をしばらくじっと見ていたけれど、どこか諦めたように下を向いた。

テーブルに添えられた大きな手。その指先は、さっき見つけてしまったスケッチブックに触れている。



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