星夜光、きみのメランコリー
でも、その色の光と影の凹凸から指先を離した瞬間。
『…ねぇ、何と話してんの?』
目の前に暗い影が出来て、そこには白くて細い腕が映っていた。
女の子の声。どこかで聞いたことがあると振り返ったら、そこには同じクラスの女の子たちが、薄笑いを浮かべて立っていた。
…あたしと、小学生の頃から一緒だった子が、ほとんどだった。
『彩田さん、最近はあんまり見なくなってたから、さすがに大人になったのかなあって思ってたけど、やっぱりオカシイのは変わりないんだ?』
…クラスで一番目立っている子。名前は確か、シバシロさん。そして、それを取り巻く同じクラスの女子たち。
『彩田さんってさあ、小学生の頃からそんな感じだよね。色にこころが見えるんだっけ? ねぇ、もしかして中学校3年目にして、まだそんなこと言ってるとかじゃないよね?』
『…』
…中学生のいじめなんて、単純だ。ほんの暇つぶし。何がムカつくとか、何に怒っているとか、そーいうのはわりと理由とは関係ない。
たぶん、この人たちは、あたしが“ オカシイ ” から、面白がっているだけ。
そう、それだけだ。
『それにしても、すごいよね。彩田さん、今まで出したコンクール、ほとんど賞とってるんでしょ? 珊瑚が言ってたよ』
『……』
『昨日、珊瑚に話してたらしいじゃん。すっごい生き生きした顔で。あたしたちにも、アンタの世界、教えてよ』
『……』
クスクスクス…、と、響く笑い声。
気がつくと、いつの間にか背中の方に回っていた絵は、吊り下げられてあった糸が、彼女たちが持っていたハサミによって切られていた。
簡単に壁から取り上げた彼女たちは、あたしの作品をまじまじと見て、また薄く笑った。
『…ただの絵じゃん。あたしたちには、どんな絵がすごいとか、そーいうのは分からないけどさあ〜』
『…』
『こんなものと会話できるなんて、彩田さんってやっぱり、“ イかれてる ” よね』
——…あたしが、
どうして、こんな目に遭っているのか。
それはたぶん、昨日あたしが得意げに珊瑚に対して話したことを、すべてこの人たちにバラされていたから。
珊瑚が、どうしてこの人たちにあたしのことをバラしたのかは分からない。
でも、あたしだって内緒にしていてほしいと頼んだわけでもないし、広げられちゃっても文句は言えない立場。
…それは、分かっている。