きみだけに、この歌を歌うよ
愁は急に話しを振られて戸惑っているみたいだった。
かと思うと、ふい、と顔を逸らし、私を視界から外した。
「うん、そうだな」
冷たい声。
それは私にとって、すごくショックな反応だった。
愁は……
私が九条くんと付き合っても、かまわないって思うんだ?
それって、私のことなんか好きでもなんでもないってことだ。
愁が杏里ちゃんを選んだ時点で、私に気持ちがないことはわかっていたけど…。