きみだけに、この歌を歌うよ
「はぁ?それ本気で言ってるの?菜々のことを裏切ったんだよ?」
「えへへ…うん。だけど、いいところもあるんだよ」
梓はガクンと肩を落とし、大きなため息をひとつこぼした。
「そんなに愁くんのこと好きなの?」
「うん……大好き」
「急に別れようとか言うような奴なのに?」
「うん……それでも大好きなの」
梓は頬を膨らませたまま、つんっと顔をそむけた。
「でも私は、愁くんのこと大っ嫌いだからね。これ以上菜々を泣かせたりしたら、その時は愁くんに文句言いにいくからね!」
梓は自分の席にむかってズンズン歩きだす。
「ごめん……ありがとう、梓」