きみだけに、この歌を歌うよ
「おいおい、引っ越すのはまだ半年以上も先の話だぞ?まだ時間あんじゃん」
九条くんは明るく笑いながら、私の頭をくしゃくしゃと撫で回す。
「寂しがり屋だな」
涙を拭いながら顔をあげると、九条くんの優しい眼差しはまっすぐに私を捉えていた。
「九条くんっ……」
「んー?」
九条くんは優しい表情で、でもちょっと不思議そうに私の顔をのぞきこむ。
「私のおねがい、聞いてほしいの……」
「なに?」
もう、花火どころじゃなかった。
私の潤んだ瞳には、九条くんしか映っていない。
「遠くになんて、行かないでよぉ……」