きみだけに、この歌を歌うよ




「九条くんとね……会えて良かったなって」

「はぁ?なになに?なんだよいきなり?」



九条くんは動揺しながらも口元は笑っていた。

だけど私は笑い返したりはせず、いたって真剣な眼差しを向ける。



「私っ、九条くんとお別れしたくない…!」



泣くつもりなんかなかった。

九条くんのことを想うと胸が苦しいんだ。

涙がこみあげてくる。



「まだお別れまで時間はあるってわかってるけど……でも、いつか必ずそのときがくるから…」



九条くんのことが好き。

大好き。



「だから時間が止まればいいなって……思ってて……。ごめん、私ってほんと泣き虫だねっ…」



だから、離れたくない。

ずっと一緒にいたい。



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