神様修行はじめます! 其の五のその後
 マロさんの結界術でも、鬼を完全には抑えられないんだ。さすがは鬼。


 鬼たちはしま子を狙って現れたけれど、人間という格好の獲物を前にして、狩猟本能が騒ぎ出したんだろう。


 目的が、しま子よりも神の一族たちを狩ることに変わってしまったんだ。


 でも、だからって塔子さんを戦わせるなんて。


 お腹に赤ちゃんがいるのに!


 ―― ドンッ!


 いきなり地面に大きな振動が走って、結界の中の地面が砕ける。


 大量の土砂の中から無数の蔦が天に向かって勢いよく飛び出し、鬼たちに襲いかかった。


「セバスチャン!」


 お岩さんが真っ青な顔で悲鳴を上げる。


 見れば、セバスチャンさんも結界の中で鬼たちを相手に戦っていた。


 漆黒の衣装に包まれた体躯をしなやかに動かし、すべての蔦の動きをコントロールして、鬼たちに攻撃を仕掛けている。


 その背後には、術陣の中で身動きがとれないしま子がいた。


 この鬼たちの荒ぶり様じゃ、しま子もいつ鬼たちに狙われるかわからない!


「見たところ、敵の力は鬼の中では中堅クラス程度のようじゃな。それでどうにか太刀打ちできておるのじゃろう」


 青ざめているあたしたちの横で、絹糸が状況を冷静に判断する。


「中堅クラス? つまり、しま子みたいな鬼神と呼べるほどの力は持っていないってこと?」


「うむ。阿・吽の結界が解かれたのはほんの一瞬じゃ。さすがに大物が入り込めるほどの余地はなかったのじゃろう」
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