神様修行はじめます! 其の五のその後
「もうガマンできない! その命令書、あたしに寄こせぇ!」


 ついに怒りの臨界点を超えたあたしは、命令書を持っている男に向かって思い切り飛びついた。


 こんな物、ビリビリに引き裂いてやる!


「うわ、なにをするか!」


「寄こせ、寄こせ! ……おんどりゃー! 寄ぉこぉせぇぇー!」


 相手の腕を掴み、素早く懐に入って体制を変え、反動を利用してバッと身を屈める。


 男の体が横倒れになって、あたしはそいつの体に乗りかかって思い切り締め上げた。


「ぐあ……! な、なにをす……!」


「そりゃこっちのセリフだよ! あんたらこそ、自分がなにしてんのか本当にわかってんの!?」


「ぐうぅ……。お、愚か者め。お前がいくら書面を破ったところで、命令が下された事実は変わらんぞ!」


 あたしとこいつが激しく揉み合っていると、マロさんの切羽詰まった悲鳴が聞こえた。


 ハッと振り向くと、塔子さんが地面に倒れている。


「塔子おぉー!」


 マロさんの目の前で、鬼に追いつめられた塔子さんが、お腹をかばいながら必死に地面を這いずっていた。


 汗にまみれたその顔がひどい苦痛に歪んでいて、あたしの顔からも血の気が引く。


 塔子さん、お腹が痛いの!?


 ま、まさか、流産しかけているんじゃ!?
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