君はヴィラン ―冷血男子は結婚に懐疑的―
「こちらから動くとなった場合、やっぱりマークするべきは、カオス・ウェディング・パーティって事かな」

 そう言いながら、蘇芳が自分のノートパソコンを操作しながら、大型ディスプレイの画像を入れ替えた。

「これは、カオス・ウェディング・パーティの会社概要、ただ、この会社概要に怪しいところはないんですが、気になるのは、代表取締役」

「誰なんですか?」

 素子が尋ねると、蘇芳は答えた。

「皆、代ヶ根財団って知ってる?」

 代ヶ根、と、聞いて、由真は背筋に冷たいものが走った。

「黄金川財閥と並ぶ財団、ですね」

 素子が言うと、蘇芳が頷いた。

「西の代ヶ根、東の黄金川、なんて言い方もするみたいだね、代ヶ根は、元々は白銀と書いていたけれど、黄金川よりも下のイメージになることを嫌がって表記を改めたくらいらしいね、……つまり、対立関係にあるって事」

 忘れていた、と、いうよりも、関連付けて考えもしなかった。
 由真は思った。

 蘇芳と、素子の言葉が耳に入ってこない。

「由真ちゃん?」

 青ざめて、呆然としている由真を案じて素子が声をかけたが、由真の耳には届いていないようだった。
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