【短編】手のひらを、太陽に…
「私ね、2回自殺未遂してるの。」
名古屋の帰りの車内で、志音は葵に突然こう切り出した。
「…2回?」
葵は訳もわからず志音に尋ね返した。
「うん…2回。…病院の屋上でのことは、2回目の自殺未遂。1回目は…ここの…お腹の傷。父親の前で、刺した。実はこの傷は父親が、私への虐待の挙げ句に刺したってことになってるけど…本当は違うの。父親に、私を刺してって頼んで包丁を差し出したんだけど、包丁を持ってくれなくて…それで自分で刺したの。」
「どうして!? …どうして、そんなこと…。」
葵は目に涙をため志音を見つめた。志音は言った。
「私のこと、お父さんいらないんだと思った。私は誰にも必要とされてなくて、父親にさえ必要とされてなくて…だからいつもお父さんは私を殴るんだと思った。だからいなくなりたかった。消えたかった。」
葵は思わず志音の両手を握って涙を流していた。
「辛かったね…。でも、志音が今生きててくれて、私は嬉しいよ…。」
その時の葵には、この言葉が志音に掛ける言葉の精一杯だった。
名古屋の帰りの車内で、志音は葵に突然こう切り出した。
「…2回?」
葵は訳もわからず志音に尋ね返した。
「うん…2回。…病院の屋上でのことは、2回目の自殺未遂。1回目は…ここの…お腹の傷。父親の前で、刺した。実はこの傷は父親が、私への虐待の挙げ句に刺したってことになってるけど…本当は違うの。父親に、私を刺してって頼んで包丁を差し出したんだけど、包丁を持ってくれなくて…それで自分で刺したの。」
「どうして!? …どうして、そんなこと…。」
葵は目に涙をため志音を見つめた。志音は言った。
「私のこと、お父さんいらないんだと思った。私は誰にも必要とされてなくて、父親にさえ必要とされてなくて…だからいつもお父さんは私を殴るんだと思った。だからいなくなりたかった。消えたかった。」
葵は思わず志音の両手を握って涙を流していた。
「辛かったね…。でも、志音が今生きててくれて、私は嬉しいよ…。」
その時の葵には、この言葉が志音に掛ける言葉の精一杯だった。