それは、愛だった。
1、それはとても単純で。


 わたしの名前は、牧尾 律。
どこにでも居る普通の高校一年生だ。一年生と言っても、桜が舞うこの四月から高校に入学する。多少は緊張するけど、まぁ普段どうりに過ごすからなんでもいいか。というかここの学校は制服が可愛い事で有名だから入学式に向かう校門前に居るのはやはり女子が多い。憂鬱だ。

「みんな、かわいい子はっかりだ。・・はぁ、」
「おい、そこの女生徒。早く教室に入れ。そんなに遅刻になりたいのか?」

 急に話かけられて、反射的に返事を返してしまう。振り返ると、金髪オールバックの見た目チンピラのジャージを着た先生(?)が校門前に立っていた。溜息をついてわたしを見ている。溜息つきたいのはわたしだぞ。

「あ、・・・すんません・・、なんか帰りたくて・・」
「正直な事はいいが良いが、とっとと行け。」
「はーい・・。は~、帰りたい・・。」

 もう朝から憂鬱だ。真新しいスクールバックの持ち手を握り治して校門に吸い込まれるようにクラス表が置いている下駄箱に向かった。



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